犯罪様相と暴力組織

 北朝鮮は、犯罪のない地上の天国と宣伝しているにもかかわらず、全域において、窃盗、強盗、強姦等大小の犯罪が頻発している。近年になってからは、平壌市を始めとする地方都市にも相当数の組織暴力団体が盛んであると知られている。

 暴力団は、学校や職場等の組織生活に忠実に参与しつつ、犯行を犯している。その理由は、職場生活が悪くなれば、名簿が直ぐに把握され、地域分駐所と市・郡行政経済委員会に通報されることによって、事件発生時、真っ先に調査対象となるためである。
 

地域別の主要犯罪組織

地域犯罪組織
平壌ヤンガペ、カンデペ、ファンソペ(黄牛牌)、コジャンぺ、トルベペ(山梨牌)、チャッガペ、
セブンペ、ソンドウォンペ、カルマペ、ヨクジョンペ、チョクサルペ、
クィトゥラミペ(キリギリス牌)
元山マンオジペ、ファンソペ(黄牛牌)、チャクペ、ヘルロウペ、ケクペ、ピョンジペ(片紙牌)
恵山マンスペ(万寿牌)、マンチぺ(槌牌)
南浦チンダルレペ(つつじ牌)
満浦マルデガリペ
清津コマリペ、ハッコボンペ、ヘンサペ、パンダイペ
咸興テンガムペ(渋柿牌)、カオギペ、ケミペ(蟻牌)、ヒョンサペ、パクィクロップペ、タジョペ(ダチョウ牌)
安州ケムトゥルペ、ナルコギペ(生肉牌)
新義州インソギペ、オンオンイペ、チャンペクガペ、テムニペ、カシペ、ミョンヨニペ、
ミルクホンガペ、オレペ(魚雷牌)、ポンガペ(鳳駕牌)、ノランイペ(黄色牌)

◇高等中学3学年から暴力組織に加担

 北朝鮮の暴力組織は、勢力拡張と更に多くの利権を確保するため、高等中学校3〜4年生(13〜14歳)まで包摂し、組織に引き込んでいる。

 暴力組織では、高等中学校6学年の組織員を動員、3〜4学年の学生中、幹部の子息や喧嘩が上手く、力の強い者に目を付けて引き込んでいる。このとき、同級生に除け者にされるひねくれ者にして再び交わってやるか、賭博に引き込んで借金を負わせ、代わりに返してやる方法でありがたみを感じさせ、暴力組織に加担させている。

 これら暴力組織は、対象者を包摂した後、喧嘩が上手になる基礎訓練をさせる。毎日、朝5時から1kgの砂袋を持って3kmずつ走らせ、喧嘩するとき、顔、肩、腕、足を要領よく刺す刀法を教え、同年輩を掌握できるリーダーシップが必要だとして、酒場を設けて雰囲気を造成する方法も教える。

 そして、一定期間が過ぎれば、数名ずつ群をなして閑寂としたところに行き、通りかかる軍人に言いがかりをつけて、喧嘩させることによって、「悪」を育ませている。

 これら高等中学生達は、このような過程を経て、卒業後、組織に正式に加入、30〜40代の暴力組織の先輩の手下の役目を行うという。

 このように、北朝鮮社会に犯罪及び暴力組織が急増することにより、13〜40歳の男性5名中、1名は、教養所や教化所生活の経験があるくらいである。

◇各地域暴力組織、相互結託して活動

 北朝鮮内の暴力組織は、過去、地域間牌抗争が頻繁だったが、最近では、相互共存共生関係を形成、組織間で相互結託している傾向である。

 暴力組織間の結託の必要性を見れば、ある組織内組織員に対し、手配令が下れば、事前に結託した他の地域組織に付託して、その地域に身を隠すことができ、保衛部員や安全部員に対して報復することがある場合、地域内で顔の知られていない他地域の組織員の支援を受け、テロが行えるという点である。盗んだ物件の処分が混乱する場合、比較的容易な他の地域組織に依頼できるためでもある。

 また、北朝鮮内の暴力組織は、安全部、保衛部、軍部隊とも相互結託し、共生関係を維持している。

 暴力組織は、安全部員に「5蔵6機」や白米50〜100kg相当の贈物を定期的に上納し、組織員が逮捕される場合、事後処理の保障を受ける。「5蔵」とは布団蔵・洋服蔵・食蔵(餞蔵)・履物蔵を指し、「6機」とは、受像器(TV)・冷凍機(冷蔵庫)・洗濯機・裁縫機・扇風機・録音機を指す。

 また、保衛部員とは、保衛部要員が闇取引等で摘発、隠匿した骨董品を国庫に帰属させずに、販売を依頼すれば、これを処分してやり、販売代金を分けている。軍部隊とは、軍人が密搬出した軍需品や民家を襲撃して獲得した贓物の処理を行ってやる代わりに、同一地域内の特定人物に対するテロが必要な場合、軍人の支援を受けることにしている。

◇女性犯罪急増の趨勢

 去る1992年、金日成の80歳の誕生日に合わせて実施した大赦において、咸鏡会寧の「88号教化所」出監者100余名中、1/3が女性だったくらい、北朝鮮社会内に女性犯罪が急増している。女性犯罪は、過去、「大きな坑道に入れないベンツ(幹部等金持ちの富裕層の指称)が狭いチマの下には、上手く入る」という位、不和事件を引き起こしたが、最近になってからは、食料及び生活必需品窃盗犯罪は勿論、殺人等凶悪事件まで続出している。

 女性達が男性を誘引・拉致する主要方法は、大学生姿で本を持って駅前に出て、出張員等と睨んだ旅行客を付けた後、相手の周辺に座って本を読むふりをし、証明書がないと言い訳をし、助けを求めて接近する方法である。甚だしくは、工場の女子合宿所等に誘引し、同僚達と一緒に脅迫して、金と所持品を強奪し、酷い場合、強制的に輪姦をするか、犯罪隠蔽のために殺害まですることもある。

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最終更新日:2003/10/25

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